市民研のような小規模NPO、いわば自前の市民活動をしている団体(団体登録者数が500名以下くらとみていいだろうか)にとって、最も悩ましい問題のひとつは、ウェブサイト(ホームページ)をどう魅力的で使ってもらいやすいものにするか、ではないだろうか。
Webデザイナーにお任せして作ってもらうのは、多くの場合
・費用が高額になりがち
・必ずしもこちらの意向をうまく反映させたデザインやサイトの構成になるとは限らない
(デザーナーとじっくりやりとりしていかねば、思うどおりのサイトにならない)
・作ってもらったはいいものの更新の作業が自分でうまくできるようになるのが大変
(場合によってはこの更新作業さえもデザーナーに頼り、対価を払うことになる)
といった理由で、なかなかうまくいかない。
そこで、必要最小限の次の2種類の知識と技能を身につけて、自前で作るということが考えられる。
A・サーバーをレンタルして、サイト構築のためのSSLなどの設定の基本ステップの習得
B・ウェブページ作成のためのコンテンツ管理システム(例えばWordPress)の導入と使いこなし
(多少なりとも汎用プログラミング言語のPHPの知識や、データベース管理システムのMySQLの知識があれば、いろいろな応用が効くようになると思われる)
でも、どうだろうか? すでにこの説明だけで、SSLをはじめ、素人には意味不明な用語が出てくるし、実際にやってみようとすると、「自分で少しずつ理解しながらこなしていく」というわけには、そう簡単にいかないことが、たちどころに判明するだろう。つまり、「自前」でやるとすれば、この分野は、
・情報技術の重要な基礎知識を、かなり時間をかけて、実践的に学ぶ
・上記のAとBに関して、専門的な能力を持つ人に、必要に応じてサポートや助言をもらう
ことでしか対応できないように思われる。
しかもそれだけではない。「どう魅力的に見せるか」というデザインのセンスが、上記のAとBにはまったく独立したものとして必要となる。このデザイン力をCと呼ぶなら、ウェブサイト作りには、AとBとCの3つが求められることになるのだ。
世の中には、この3つを十全に備えて、見事なウェブサイトを自身で構築し管理している人もきっといるのだろうが、それはかなり稀なことなのではないか。
市民科学研究室のホームページは、初期から3段階くらいの大きな「衣替え」を経て今の姿になり、現在では、wordpressを使ったページでの管理や更新の作業は、ほぼすべてを私一人で行っている。でも私自身は依然として、Aについては極めて中途半端(だから時々詳しい知識を持っているYさんに助けてもらっている)、Bはいくらかこなるとしてもせいぜい「マニュアル通りにやってます」くらいのレベル、そしてCとに至っては情けないほど乏しい(時に「こうしてみることができたらいいのに」と思いつくこともあるが、AとBに暗いままなので、その思いつきを実際の形にできない)。
もちろんコストの問題も大きい。
でもそれだけではない、いくつもの種類の難しさがからみあっている―というふうに、このウェブサイト作りについては、思わないではいられない。