ヒト以外のどんな動物も、ヒトにはない何らかの感覚を持っていて、その動物において観察できるある特定の行動が、その特異な感覚に由来すると判明している事例は、無数と言っていいほどある。しかし、「地震の予知」のことでわかるように、それらを人間が、例えば何らかの環境モニタリングのためのセンサーとして用いようとすると、利用できるものは非常に限られる、ということになりはしまいか。
川や干潟から、以前は「あたりまえ」に生息していた何らかの生物の個体群が、数が減少したり姿を消したりするといったことを観察する生物個体数のモニタリングは、言うまでもなく重要な環境指標になっているわけだが、生物の色、鳴き声、求愛や索餌行動……となるとどうだろう?
例えばモグラが地上部に残している「モグラ塚」(トンネルを掘った残土を地上に排出したもの)やそれが示しているだろう「通路」の位置を注意深く観察すると、地下で起こっている何らかの異変との関連が見えてくる、あるいは鳥の鳴き声が微妙に変化していることがつかめれば、周りの環境の何らかの異変を察知できる、などということはあるのだろうか?
こうした「生物センサー」についてどんな知見が蓄積されているのか、まとめて知ることができれば、と考えているのだが、なかなかその調べ方の手立てが立てられないでいる。