LEDの光のせいであわやのところで交通事故に遭いそうになった、と言えば、どれくらいの人が、「それ、わかるよ」と思ってくれるだろうか。
自宅からほど近いところに、よく利用するちょっと大きめのスーパーマーケットがあり、日暮れ時にそこに買い物に出かけた。
そのスーパーに向かう通り道に1カ所小さな交差点がある(信号はないが横断歩道はある)。そこから急に自転車が飛び出してきた、というだけなら、その交差点から10メートルは離れていただろう私には、別段危なくはない。ところがその自転車は―最初の瞬間は自転車であることさえも気づけなかったのだが―おそらく0.5秒間隔くらいで点滅する非常に強い光を出すLEDライトを着けていた。「何事だ?」と戸惑った直後、あろうことか、その自転車は直角に曲がって速度を落とさないまま狭い歩道を走り抜けようとする。「自転車か」と気付きはしたものの、光が眩しすぎて、急接近する自転車をよけるも何も、身体が反応できない。硬直したように立ち止まってしまった私の横をスレスレで自転車が通り抜ける。すれ違った瞬間に、乗っている若い男が、私にぶつかりそうになったことに肝を冷やしたのか、「ウワッ!」と小声をもらしたのが耳に入った。こちらは動転してとっさには声も出ないし、しばらく立ち尽くしたままだった。
歩道を自転車で駆け抜けることは、むろん交通ルール違反だが、それ以前に、LEDライトが眩しすぎる。自転車もバイクも自動車も、なぜあんなにも眩しいライトを平気で光らせているのだろうか? 照明具を提供するメーカーは何を考えているのか? 眩しい光は、かえってその光を発するライトを装着した物体の輪郭を、視覚的に認知することを妨げる、という単純なことがどうしてわからないのか? 私はここ数年来―LEDがやたらに普及するようになって以来―夕暮れ時や夜に道を歩く際は、LEDライトの点光源が遠くから接近してくるのがわかると、目を伏せて(下を向いて)、その光が目に入らないようにして歩いている。私にとっては、これは「光の暴力」とでも呼びたくなるような嫌悪すべき事態なのだ。
英国ではこの「眩し過ぎる」という問題に関して、すでに調査が始まっている。
最近のクルマは「ヘッドライトが眩し過ぎる」 1万人以上の陳情受け英国政府が “緊急調査” へ
日本のメーカーよ、関係当局よ、どうかしっかり調べて、早く対応策を打ち出してくれ。
PS ちなみに、私は「電飾」も嫌いだ。夜は基本的に暗くあるべきで、余計な「明るさ」はいらない。樹木を「電飾」で飾り付けるのも反対だ。植物にとっていい迷惑ではないか。植物が「夜」を認識できないとでも思っているのだろうか?