議論を続けたくなる語り方

省察

何か意見やコメントを求められた際に、返答に値する何らかの中身をこちらが持っていることを前提として、こちらがその中身をどう語るか(伝えるか)の違いによって、聞き手側の納得度や共感度が大きく違ってくる、ということがある。

別段、定型の伝え方や語り方があるわけではないけれど、周囲の状況(聞き手の人数、普段の付き合いの有無、話題への関心や知識の程度など)から、自分の持ち時間をわきまえて、できるだけ簡潔明瞭に、相手が内容に賛成するにしろ反対するにしろ、話し合いを続けてみたい(あるいは、もっと意見を聞いてみたい)と思わせるように語るのが大事と言える。その上で、相手に深い印象を残せるような語り方が、作為的ではなく自然にできれば、申し分ない。

避けなければいけないのは、おそらく次のようなことになるのではないか。

・何度も留保をつけて「ああとも言えるが、こうとも言える」といった、もってまわった(まわりくどい)言い方
・言わずもがなのありきたりの見解(誰が聞いても反対はしないが、別にそんなことを言ってもらわなくても、みんなだいたいわかっている、と心のなかで思ってしまうようなこと)
・本論にはあまり関係のない前置きを(長々と)述べること
・「いつ話が終わるのだろう」と訝しく思われるような、常識的に想定できる持ち時間の感覚がないと思えるような長いしゃべり
・結論や言いたいことが、しゃべっている本人にとって不明瞭なので、周りはその人が何が言いたいのか把握しがたく困惑するようなしゃべり
・自分の意見がまとまっていないのに発言を始めて、しゃべりながら自分の見解らしきものを引き出してこようとするために、いかにも冗長になってしまうしゃべり

もちろん、親しい人との間の気のおけないおしゃべりには、こんな禁忌事項など意識する必要はないが、公的な(雰囲気の)場での意見交換となるとそうはいかない。議論してよかった、と思ってもらうためには、無論、どんな内容を語るかが何より重要だが、語り方も大きく関わってくることを心しなければならないと思う。

タイトルとURLをコピーしました