新年早々、この先の世界情勢に暗雲をたれこめさせる事態が起きた。米軍によるベネズエラへの軍事攻撃・介入と政権転覆の事件だ。
軍事力に物言わせ、他国の主権を顔色なからしめるやり方がここまで露骨に行われるとは。ベネズエラが極端に治安が悪く、麻薬の密輸が横行し、経済もガタガタで、国外流出する人々が大量に出ている、そしてそれがどうも、「反米」で鳴らした前大統領(チャベス)や現大統領(マドゥロ)の政権と大いに関係があるらしい……というくらいの認識しかなかった私には、トランプの言うことがどこまで本当かは判断できなかったのだが、今思うと、何度か引き続いてきた”密輸船”の爆撃をはじめとする攻撃も、今回の政権転覆への布石の一つだったのだな、と気付かされる。
言うまでもなく、ちょっと歴史に詳しい人なら、中南米において米国が軍事介入を通じて政権を転覆してきた事例は、グアテマラ(1954年)、ドミニカ共和国(1965年)、チリ(1973年)、パナマ(1989年)、ハイチ(1994年)……と少なくないことを思い出すだろう。トランプが「メキシコ湾をこれからアメリカ湾と呼ぶ」などと「悪い冗談にもほどがある」と思えるようなことを口にできるのも、こうした背景があるからだろう。
ベネズエラが石油利権も含めて(傀儡的な政権のもとで実質的に)米国の属国のようになるのか、これまでより確実に民主的な政権が新たに誕生するのか、それとも今回の事件が内紛や国際紛争の火種となって混沌とした状態に陥るのか―今の時点ではまったく判断がつかない。ただ、この事件を機に、国際法を遵守することでなんとか維持されてきた秩序が崩壊に至らないか、その恐れがあるような気がするのだが、どうだろうか。国際法を無視しても、「それのどこが悪い(”反米”は叩き潰してよし)」と言わんばかりに覇権主義を剥き出して居直る―そんな傲岸不遜を許してしまうと、世界全体がとんでもない方向に転落していくことだろう。
今回の事態をどう日本は受け止めて反応すべきか、熟考しなければならないと思う。
◆今日のおすすめ
上記の事態の背景を手っ取り早く知るには役立つ動画だと思われる。
【戦争寸前】なぜ米国はベネズエラを攻撃するのか?トランプ激怒の理由


