先日、1ヶ月ほど前にメールで相談してこられた、相模原市にお住まいのある高齢の女性宅を訪れ、その方のお住いの周りの状況の確認と、裁判の経緯を含め詳しいお話を伺ってきた。10年近く低周波音被害に悩まされている方だ。
同居している夫である方には被害は出ていない。お二人で決めた終の住処 ―羨ましくなるほどの素晴らしい住宅街のなかの素晴らしい戸建て住宅― に住まい始めて1年が経って、道を隔てて20mほどのところに、大型のドラッグストア(1階)+アパート(2階から5階)ができてしまい、その広い2階のバルコニーに設置された、業務用冷凍冷蔵ユニット(低音用冷蔵庫)に付属した大型室外機2台から出ている(ほぼ24時間止まることがない)低周波音が原因だ。高裁まで争ったものの敗訴して、結局体調不良との因果関係は裁判所によって否定されているが、1度だけ裁判のために行った ―専門事業者に依頼して40万円もかけて行った― 低周波音測定の結果をみても、そして私がこれまで得てきた調布市の陥没事故関連での証言や知見に照らしてみても、低周波音が原因であることが明らかだ。なぜそれが裁判では否定されてしまったのか?
裁判関係の書類(全部で300ページくらいにもなるでしょうか)をお借りしてきたので、これから分析して、今後何ができそうかを考え、被害者の方にはご提案するつもりだ。
このような「見えない(認められない)病」で苦しめられている方は、日本全国に少なくないように思われる。発生源があれば必ず被害が出るとは限らないのだが、音源・振動源の設置位置や周囲の建物の位置・形状との関係で、思わぬところに低周波音が強く発生する、ということが考えられる。通り一遍の測定では実際に起きていることをうまく把握できない、ということを想定しながら、慎重に証言をとり、実測を重ねていく、ということが求められるはずだ。しかし現実は、かなり古い時期に環境省が定めた「測定マニュアル」に沿って測りさえすればよい、測定結果も環境省が定めた「参照値」―決して健康被害のあるなしを判定する「基準値」ではないはずなのだが― を下回っていれば「低周波音の被害とは認められない」という扱いがまかり通っている。
「この分野の専門家は何をしているのだろう、もっと科学的にきっちり詰めていく努力をすべきではないのか」という思いがどうしてもしてしまう―今述べたような被害の事例に出会うたびにそう思ってしまう。
心ある科学者・専門家との何かよい具体的な連携の形を作ることが急務であるような気がする。


