誰もが気づいていることだが、この日本で結婚する人がどんどん減っている。
1960年代のピーク時に比べると年間の婚姻数はほぼ半減しており、年間の離婚数も婚姻数の3分の1ほどに達していて、カップルの数が先細りなのだ。
この現象の良い悪いの判断は措いておくとして、この主たる原因の一つが、多くの人が「家庭を築けるほどの収入が私にはありませんから……」ということだとすると、とても辛い話だと思う。経済的に全体として斜陽に向かっている今の日本社会では、若い人が特にそのしわ寄せを受けることとなっていることがしばしば話題にされるが、自ら進んでというわけではなく―半ばあきらめつつと言えようか―「家を持たない」「パートナーを持たない」「子どもを持たない」という選択となってしまう、ということなのだろうか。
本当は、金がそんなになくてもパートナーと楽しく家庭を築けると思うし、現在日本で平均的にみると「子ども一人を育て上げるのに2000万円ほどかかる」とのことらしい。でも、そんなに金はかけなくてもまっとうな子育てはできるのではないかとも思うのだが、そうした「世の中、何とかなるもんだ」という、楽観的な心の余裕―私はそれが「自分の情熱を裏切らない生き方」さえできていれば必ず生まれてくるものだと思っているが―を、思いの外たくさんの若者が持てないでいるように、私には見受けられるのだ。それは一言で言うと、「面白い未来を、自分の力で切り開いていける」という希望が持てない、ということではないか。
自分よりも年若い人に出会い、それなりに親しく語り合う機会があるたびに、本当に一人一人は皆いい人で能力も高そうなのに、先が見えない、希望が持てない、ということから来るらしい「陰り」を感じてしまい、なんともそれが辛いのだ。