3つの特技

生活

誰でも何かしらの「特技」を持っている。その自分の特技を皆が、周りに知らしめるようにしてお互いに活用できるようにすれば、世の中もっと楽しくなるのではないか。

私は次の3つの特技が―才能と言っていいのかどうかわからないものが―ある。これらについては、それぞれ、いろいろ面白いエピソードなども多いので、追って語ってみたいと思うが、まずは並べてみると、こうなる。

一つは、小さい子ども遊ぶこと。赤ちゃんとか小学校に上がるくらいまでの年齢の子どもだと、24時間一緒にいてもまったく苦にならない。それどころか、(どんな大人と一緒にいるよりも)楽しくてしょうがない。おかげでベビーシッターをしてお金をもらったことがある。妹に言わせると「兄ちゃんは職業を間違えたね。保父さんになるのがよかった。」私もそう思っている。電車の中で目にする赤ちゃんの月齢を推測するのが趣味になっていて、どうしても気になってしまうと、若いお母さんに「可愛いですね。何ヶ月ですか?」と尋ねたりしている。

二つ目は、気に入った音楽(楽曲)のメロディーを全部ソラで口ずさめること。もっぱらクラシックということになるが、その曲に感動して、数回繰り返して聞けば、歌曲でも交響曲でも室内楽でもピアノ曲でも、旋律を初めから終わりまでまるごと覚えてしまう。初めはこれを特技だとは思っていなかった。中学校の「音楽」の時間にレコード鑑賞させられた曲が、たまたま自分にとってはそうした曲だったので、後で級友とおしゃべりしている時に、「あの部分はこうだったよね……」と次々に旋律を口ずさむと、その友人がびっくりする、ということがあって、「特別」なことなのだ、ということに気づいた。こんな特技を披露する機会はまずないから、誰も「上田さんは指揮者になればよかったのに」とは言ってくれない。でも自分では少しばかり、そう思っている。ただ、現時点では、自分自身の音楽鑑賞以外には、何の役にも立たない能力だと言える。

三つ目は、最も実用的で、日々活かせている能力だ。物をどう並べたり積み上げたり押し込めたりすればピタッと収まるかが、たちどころにわかる、というもの。これは明らかに母親からの遺伝で、小さい時に母親が荷造りしたり片付けをしたり……で胸がすくようにピタリと収めるのを何度も目にしていて、魔法を使っているような気がしたものだが、どうもそれが自分にもあるらしい。乱雑に積み上げられたかなりの量の本の塊と、ある大きさのダンボールが1個あったとして、そのダンボールを何個使えばスッキリと収めることができるかが、直感的にわかる、という類だ。家では私は「収納の鬼」と呼ばれていて、この特技だけは大いに重宝されている。キッチンをはじめとして、各所に発揮されている「収納の工夫」を動画にとって公開すれば、かなりウケるのではないかと思っている。

こうした特技でもっていろいろ人助けができればいいのだが、なかなかそれがかなわない。

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