吸殻拾いをする男性

環境

先日、某中央線の駅に向かって歩いている途中で、珍しい光景を目にすることとなった。

お正月の期間中だったから普段よりも人はまばらなように思えたが、ある初老(70歳手前くらいか)のサラリーマン風の男性が―リュックを背負い背広を着ていた―右手に割り箸、左手にレジ袋を持って、路上のタバコの吸い殻を拾っていた。

その作業のためだけに外出したとは思えず―いかにも通勤する時の姿に見えた―、だとすると、駅から家路に向かう道すがら、いつも行っている、ということなのだろうか。もちろん、時々はその道沿いのビルや店舗や住宅のオーナーらが建物の入口に面した道路を清掃することはあるだろから、その時にポイ捨ての吸い殻を掃き集めて捨てる、ということになっていると思われるが、それでも特に店舗などが休みの日が続くと、吸い殻も路上に溜まって目立つようになる、ということのなのかもしれない。

私は、なんら報われることはない吸い殻拾いを、おそらく習慣的に励行しているだろうこの男性に、「偉いなあ」と思わないではいられなかった。

その時には駅まではまだ歩いて5分くらいの距離があったのだが、その男性に感心してしまった心の余波か、歩きながら目は自ずと路上に向いた。あるわあるわ、吸い殻が。最初は数メートルから10メートルに1本くらいだったのが、駅に近づくにつれて、それが数本くらいを数えるまでなっていた。

タバコのポイ捨てがひどい環境汚染になっていること(例えばこちらの記事)、そして条例違反等の犯罪にもなっていることは、言うまでもないだろう。でもこうした不埒な行為を繰り返す輩を取り締まる有効な方法がない。JTも「マナー」を呼びかけるだけで―そんなことでは問題が解決しないのは百も承知で―頬かむりを続けている。

吸殻拾いをする男性の姿に、私たちは何を思えばいいのだろう。

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