生命操作について講演

科学

2024年の4月8日と15日の2週の月曜日、以下の「かわさき市民アカデミー」で、進展著しい生命操作技術の社会的影響について話をしてきました。

昨年のワークショプとは打って変わった、深刻な問題提起といった感じの話だったのですが、41名の参加者の皆さん(約半数がオンライン)が、第1回目(4/8)の「技術編」、第2回目(4/15)の「社会編」ともに、非常に熱心に聞き入ってくださいました。

「認知症になりやすいかどうかを、出生前診断でゲノムを調べてわかるようになれば、どうなるのか?」といった核心をついた質問をなさった方、
高齢の母親が「胃ろう」を受けていること、でもこれまでの経験から延命治療はしたくないとの思いをもっているが、どうすればよいか……
腎臓病で透析が欠かせずこのまま生き続けるのはとても苦しいと訴えている友人がいるが、どうするのがよいのか……
また、講座終了後に個人的にお尋ねになった、「娘が40歳を過ぎたが、これまで3度受けた不妊治療はうまくいかなかった。続けるべきなのかどうか教えて欲しい」……
と、それぞれが経験なさった、あるいは今かかえておられる、それぞれの悩みを訴えておられた―
皆さんそれぞれが、この問題を自分に引きつけて受けとめてくださっていることが、とてもありがたかったです。

帰り道、受講生の3名の女性の方々とすれ違い、少し立ち話をしましたが、その中の、70歳代と思われるお一人が、「とても面白かったです。でも聞いていて、何だかこんな世の中になったんだな、と思うと悲しくなりました」とおっしゃっていたのが、心に突き刺さりました。

生殖細胞系列へのゲノム編集技術での介入の問題をはじめ、生命操作技術のほぼすべての問題で、市民が率直に意見を述べ合い、専門家らにそれをぶつけていく、という場が決定的に不足しているように思います。

4月23日にスタートする、新しいメンバーでの「生命操作研究会」で、今後何ができるかをじっくり考え、行動に移していきたいと思っています。

今回の「かわさき市民アカデミー」での貴重な機会を与えてくださった、佐藤年緒さんに、心より感謝いたします。

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