子どもを支える、地域の居場所

NPO

地域の人々が気軽に集って、初めて出会う人とも安心して話ができる―考えてみればそんな場所は、もう意識して作らない限り、少なくとも都会には見いだせなくなってしまったのかもしれない。大人はまだしも、自分の意思で「地域」以外に付き合いの幅を広げていくことはできるだろう。しかし、子どもはそうはいかない。もし学校や家庭が居づらい場所になってしまうと、地域にたむろする場所がないとすれば、孤立してしまう。昔なら路地や原っぱで、誰が声がけするわけでもないのに、自然と子どもが集まって遊ぶことが、当たり前だった。ところが今はそれがない。子どもの居場所がなくなってしまっている。

家庭が貧困にあえぐようになれば、そのしわ寄せは子どもに来る。朝ご飯さえまともにとれず、学校の給食だけが頼りという家庭はどれくらいの数になるのだろう。全国で2010年頃から増えてきて、今では6000箇所を超えるという「こども食堂」は、そのような悪化する状況への、心ある大人たち(大学生らも含む)の連帯による防護壁だと言える。食堂は食堂にとどまらないのが、食の力のなせる技であろうか、子どもどうしの、そして子どもと大人の交流が、いろいろな形の遊びと学びを伴って、スタッフや近所の大人の協力者たち(様々な技能や知識や体験を持った人が係る場合も出てくるだろう)の知恵と工夫と努力で、実現するようになる。

こうした子どもの居場所が、実際にそこで豊かな交流を生み出していく場になるには、運営に関わるスタッフらの並々ならぬ苦労があるだろうと想像される。

昨日、市民研の「子ども料理科学教室」のことで相談に赴いた、千葉県市川市のNPO法人「みんなのサンタ」(おもちゃ図書館 カフェ・サンタ)で、その代表のMさんからいろいろなお話を伺って、「危機的な状況にある子どもたちを守り育てていく、具体的な活動とはこのような活動のことを言うのだな」と実感させられた。Mさんからは、市川市において「子ども料理科学教室」を展開できるようにするための、希望の持てるよいアイデアもいただいた。

1時間ばかりの訪問だったが、この素晴らしい活動が末永く続いていくことを願わずにはおれなかった。

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