困った人たちからの寄贈本

NPO

世の中には、何らかの「自説」―学問的価値も世間への啓発的な効果も到底ありえないだろうと思える珍妙な説―を見知らぬ他人に聞いてほしくてしかたがない、と思える人、こちらから見れば「自己執着心・自己顕示欲」が過度に強いとしか思えない人が、一定数いるように思われる。

中には、マスコミで顔が知られていたり、いろいろな著作を出している「有名人」に直接、自分の書いた文章や時には著書(自費出版的なものが多い)を送り付ける者もいる。でも、その宛先は簡単には分からないことが多いし、TV局や出版社経由では確実にその有名人に届くとは限らない。学会で自説を発表しようにも、学会費もかかるし、発表しても相手にしてもらえない可能性が非常に高い(それくらいのことは本人もわかっている)。

そこでターゲットになるのが、非営利・公開を旨として、ある種の専門性を有している、NPOだったりする。「科学」という言葉を団体名に掲げたりすると、一層狙われやすい(のではないかと思う)。

いきなりA4で何十枚にもなる大論文―それが時には手書きのコピーだったりするので仰天するが―や、「核廃絶を可能にする唯一の方法、○○教の教えの真実を証明する」といった類のタイトルを持つ著書を「ぜひ貴団体のご意見をお聞かせ願いたい」といったメッセージとともに、送り付けてくる。

もちろん、無視するしかないのだが、はっきり言って、かなり気持ちが悪い。というのも、そうした「自説」を持った人が、何らかの相談をこちらに持ちかけることを装って、電話をかけてくることがあったりするからだ。

これは本当にやっかいだ。逆恨みされないように上手に対応しつつ、お引取り願うしかないのだが、時には30分を超えることもあり、妙に神経をすり減らすことになる。

もちろん、電話相談のなかには、これとは対照的に、電話でしか知り得ないような、重大な事実や現場の状況の説明があったりするから、第一印象で決めつけないように気をつけているが、それにしても……。

もともと電話嫌いである私にとって、悩ましい、解決法の見いだせない問題の一つではある。

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