いわゆる業界用語には、門外漢には字面から意味を推測することが難しいものが多いように思うが、さらに輪をかけるようにやっかいなのが、そもそも読み方・発音がわからないものの少なくないことだ。
例えば以前、私は以下の発表を市民科学入門講座で行ったが、
「地盤リスクを考える」<その4>陥没事故報告書を検討する―福岡、横浜、調布の3事例
参加者のお一人から、「じつは業界ではこう読むのですよ」と以下のご指摘をいただいた。
仕方書:しかたしょ(←「しほうしょ」を私は発音していた)
支保工:しほこう(←「しぼこう」と私は発音していた)
土被り:どかぶり(←「つちかぶり」と私は発音していた)
トンネルの掘削に関連して「切羽」という用語があるが、「切羽(せっぱ)詰まる」の言い方から「せっぱ」だと思っていのが、じつは「きりは」と読むのだと、別の方からご指摘いただいたことも、以前にあった。
専門家や業界関係者らが実際に話す場に何度か居合わせれば、こうした「読み方」はわかってくるものなのだろうが、書物や論文など文字だけで情報を追っかけていると、見落として(聞き落として?)しまうことになる。ああ、日本語はやっかいだ。