『困った人体』の普遍性

本の話

偶然だが古書で手に入れた赤瀬川原平の『困った人体』(マガジンハウス1998年)という本が面白い。今は講談社のα文庫に収められているようであり、そのサイトの紹介文を引いてみると、

「男根・胃袋・心臓・目・肛門・口・足・頭・耳・毛・顔面・爪・腰・血・背・鼻・手・腹・脳みそ、どこから読んでも、ぜ~んぶ人体!!人体には歴史があり、宇宙がある。
自分では、コントロールできないものであり、自己との組み合わせの不思議を痛感させられるものであり、世の中と同じようなものでもあり、あらゆる悩みや、思い出が存在するものである!!」

「自分であって自分でないような困った存在」である人体の各部位、それをめぐる痛切で、こっけいで、でも共感せざるを得ないような体験談が繰り出される。ユーモア文学の小傑作かもしれない。

人体のパーツをテーマに、また違った趣のユーモアを醸し出す作品に、群よう子の『肉体百科』『よれよれ肉体百科』、別役実『別役実の人体カタログ』があるが、おそらく「人体」は、誰が語っても(作家ならではの語り口のうまさはないとしても)、その人自身の経験が嘘偽りない率直なものであればあるほど、面白おかしく語れてしまうのではないかと思われる。

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