本の話

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漱石と資本論

夏目漱石が『明暗』のなかで、マルクスの『資本論』とおぼしき書物のことを取り上げているのをご存知だろうか。主人公津田が読了したいと思っていた本として「経済学の独逸書」が出てくる。漱石は英国留学時に『資本論』と出会っていることは比較的よく知られ...
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『困った人体』の普遍性

偶然だが古書で手に入れた赤瀬川原平の『困った人体』(マガジンハウス1998年)という本が面白い。今は講談社のα文庫に収められているようであり、そのサイトの紹介文を引いてみると、 「男根・胃袋・心臓・目・肛門・口・足・頭・耳・毛・顔面・爪・腰...
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『料理ノ御稽古』

私は、昨年お亡くなりになった嵐山光三郎さんの著書のファンで、古本屋で見つけるたびに(あまり高価でなければ)購入して読んでいる。 私は昔はTVをあまり見なかったので、はっきりした記憶はないが、一時期はTVにもよく出演されていたように思う。あの...
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懐かしの一編と再会

昔読んでとても印象に残っている本ではあるけれど、今それを読み返す必要もないしわざわざ読み返したいとも思わない本は、誰にとっても幾冊もあるだろう。でも、絶版になって久しいなどの事情で、今は手に入り難くなっているようであるその懐かしの本が、なん...
サイト

統計学入門の素晴らしい書物とサイト

私はこの半年ほど、市民科学研究室の「土曜講座Ⅱ自分で調べるための統計学」の講座(月1回)を担当してきた。その準備で、かなりたくさんの統計学の学習書や解説書、そしてネットで公開されている入門者向けのサイトに目をとおしてきた。「あっ、この説明の...
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吉野三郎という人

私は手軽に手に入る『名言集』の類がかなり好きで、古書店で面白そうなものを見つけると買ったりしている。 2024年も、古い岩波新書で桑原武夫・編『一日一言―人類の知恵―』(1956年刊)というのを、風呂の中で少しずつ朗読して読み終えた。その時...
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「誤訳」を徹底的に撃つ本

あなたは有名な文学作品やベストセラーになった作品の日本語訳が、とうてい見過ごし難いレベルの誤訳に満ちているのに、それが世の中に流通してしまっている―という例をいくつ知っているだろうか? 私は原書でなんとか読める(読み切れる)のは英語のみであ...
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古本悲(秘)話

古本を手にして、本の中身ではなく、別のことで心にひっかかってしまう事柄がいくつかある。 まずは「献本」のしおり。これが挟まれたまま古書店に出ているということは、献本されたその人はこの本を読んでいないのだろうと推測される。ああ、哀れなるかな、...
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『アトム博士』シリーズ

古い本だが、科学入門漫画本として一時期話題になった『アトム博士……』のシリーズのうちの一巻、『アトム博士の電磁気学入門』を読んで、ちょっと驚いた。 石ノ森章太郎が漫画の「監修」をしているのだが、それは関係ない。というより、絵柄は石ノ森タッチ...
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『日本軍兵士―アジア・太平洋戦争の現実』を読んで

戦争の理不尽さは、罪のない民間人や子どもを巻き添えにすることに一番あらわれていて、現地報道の多くもそこに目を向けることになるが、長期化した場合に、駆り出された兵士たちにどれほど悲惨なことが起こるかについても、言い落すわけにはいかないだろう。...