「子ども」を描いた3つのピアノの名曲

音楽


「子ども」を描いた名曲といえば何があるだろう?

誰でも知っている童謡やそのメロディーを使った変奏曲などは数多くある。「子守唄」は数え切れないほどの数になるだろう。

また、子ども(や動物の子ども)を主人公にした物語がオペラや劇になり、そこに素晴らしい音楽が付けられている作品も少なくない。

また、数は少ないが、子ども自身が自分の心のうちを語った(という仮構のものとでの)詩を用いた歌曲や合唱曲もある。ムソルグスキーの歌曲集「子ども部屋」は、その最高位に来る傑作と言える(私はオランダの名歌手エリー・アメリングの日本公演リサイタルのラジオ放送で、この曲を初めて耳にして、非常に感動したという経験がある)。

でも、「子ども」という存在に思いを致し、その心象風景を描いた作品は意外にも少なくて、ピアノ曲でいうと、おそらく、抜きん出た傑作は次の3つにとどめを刺すだろう。

・シューマン「子どもの情景」
・ドビュッシー「子どもの領分」
・モンポウ「子どもの情景」

前二者は知らない人はいないだろうほど有名で、ピアノ初心者でもなんとか引き通せる曲も含まれていたりするから、いわば耳に馴染みすぎてしまって、新たな演奏に耳を傾けようとすることもまずない、という人も多いだろう。でも次のような新鮮な解釈の演奏に出会ったりすると、「ああやっぱりいいなあ」と思ってしまう。

ドビュッシー:子供の領分/版画/前奏曲集第1集、第2集/ラモー:コンセール形式によるクラヴサン曲集(オラフソン)
「ドビュッシー:子供の領分/版画/前奏曲集第1集、第2集/ラモー:コンセール形式によるクラヴサン曲集(オラフソン)」(レーベル: Deutsche Grammophon)の試聴、全曲再生ができます。収録曲:選ばれた乙女 - 前奏曲(ピアノ版...

私が上記三大名曲のなかでとりわけ好きなのは、モンポウの曲だ。聞けばただちに、路上で無心に遊んでいる子どもたちの姿が目に浮かばんばかりになり、郷愁感で胸が締め付けられる。大人が子どもを装うのでもない、子どもになり変わろうとするのでもない、忘れてはならない「子供の頃」の何かを見つめ続けるような深い視線を感じる。奇跡的な名曲と言えるだろう。

Judith Jáuregui – Federico Mompou – Scènes d’enfants (全曲)

Federico Mompou: Jeunes filles au jardin, Katharina Treutler I piano (第5曲「庭の乙女たち」)

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