NHKスペシャル「調査報道 新世紀 File4 オンラインカジノ 底知れぬ闇」(2024年6月29日放送)を観た。
ある程度予想していたとはいえ、「人生の破滅」に至ったと思わないではいられない実在の人物に密着して語らせていることの生々しさに、やはり衝撃を受けてしまった。(内容は、1年半ほど前の2022年12月14日に放送された「クローズアップ現代」の「やめたくてもやめられない 広がるオンラインカジノの闇」の改訂版という感じのものになっていた。)
子どもたちの間で、SNS依存症、ゲーム依存症が、もう決して等閑視していられないところまで来ている、という報道を「市民研サーチライト」で紹介したばかりだったが、
高橋暁子「10代のSNS過剰利用 どう規制するか」
樋口進「若者のゲーム依存 新たな問題と対策」
大人にはそれら2つに、オンラインカジノ依存症がさらに加わる、ということなのか。
推定で数百万人が違法にもかかわらず(違法とは知らずに、の人も多いらしい)、これに手を出している、という。
私が思うに、依存症に陥ったと考えられる人に対しての最も根本的な対処法は、「電波遮断」、すなわちネットへのアクセスをできなくすること、もっと具体的に言えば、スマホを持たせない(買わせない、契約させない)か、持っているスマホを潰してしまうことだろう。
番組ではこのことへの言及が全然なく、あたかも、誰もが一生の間片時もスマホを手放さずに暮らしていくものなのだ、という前提があるかのような感じがした。もちろん、オンラインカジノは誰がどんなやり方で「中毒」患者から金を吸い上げる社会悪であるかについては、徹底的に調査して暴いてほしい。でも、「スマホ=決して手放せないもの」という暗黙の前提は疑ってしかるべきものだろう。
スマホを持たなくても生活できるし(現に私はそうしている)、その方が現代社会ではかえって心静かに落ち着いて過ごすことができる。PCでネットを見たりメールをするのも最小限に留めるのがよいのではないかと最近は思っている。
ネット上で誰が何を言おうと、そんなことは気にしないで、自分の考えを自分の言葉で少しずつ根気よく編み上げていく。それが稚拙でも、モノを知らない無知な点を多々含もうとも、改めてそうだと気づかされた時点で学んでちょっとずつ身につけていけばいいわけで、ネットから拾った情報でとってつけたような付け焼き刃で自分を飾らないほうがいい。どうせそんなメッキのような知識は、いつかはげるし、ほとんど役に立たない。
また電子メールも、じつはとても危うい道具であり、それで頻繁に意見交換してうまくお互いが啓発され、信頼が深まり、親しくなることができる、などど思わない方がいい。特に対面でのやりとりが希薄なままだと、メール上のちょっとした言葉や言い方で、思いもしない亀裂が相手との間に生まれたりする。すでに信頼関係が確立している人との間でのみ、電子メールでのやりとりで、相互の議論の深まりや新たな創造的な試行錯誤が生まれる可能性があるのであって、これから信頼関係を築くにはできるだけ直接会って話をする機会を持つべきなのだ。
私たちは、それなりに知り合うことになった人たちであっても、いわんや不特定多数の人たちならなおさら、信頼関係が築けるほど、メールの使い方についてまだ賢くなっていないし、これからも賢くなることはないのではないか。私は今そのように感じている。