言葉・日本語

恥ずかしい覚え間違い

字をひっくり返して読んでしまったり、別の読み方で勝手に読んでしまう悪い癖が、私にはある。自分のなかだけで収まっていればいいが、時に、その言葉を口にして恥をかくことがある。 韜晦(とうかい)を勝手にひっくり返して「かいとう」と覚えていて、昔、...
NPO

困った人たちからの寄贈本

世の中には、何らかの「自説」―学問的価値も世間への啓発的な効果も到底ありえないだろうと思える珍妙な説―を見知らぬ他人に聞いてほしくてしかたがない、と思える人、こちらから見れば「自己執着心・自己顕示欲」が過度に強いとしか思えない人が、一定数い...
言葉・日本語

業界用語の読み方

いわゆる業界用語には、門外漢には字面から意味を推測することが難しいものが多いように思うが、さらに輪をかけるようにやっかいなのが、そもそも読み方・発音がわからないものの少なくないことだ。 例えば以前、私は以下の発表を市民科学入門講座で行ったが...
文学

高田敏子の詩と三善晃の音楽

私の好きなラジオ番組の一つに、NHKFMの「ビバ!合唱」がある。 古い録音になるが、「合唱で聴く詩人の世界(11)~高田敏子」と題した回があった(2022年4月23日)。私は三善晃の合唱曲に長年ずっと親しんできたので、この詩人の名前はうんと...
本の話

古本悲(秘)話

古本を手にして、本の中身ではなく、別のことで心にひっかかってしまう事柄がいくつかある。 まずは「献本」のしおり。これが挟まれたまま古書店に出ているということは、献本されたその人はこの本を読んでいないのだろうと推測される。ああ、哀れなるかな、...
本の話

『アトム博士』シリーズ

古い本だが、科学入門漫画本として一時期話題になった『アトム博士……』のシリーズのうちの一巻、『アトム博士の電磁気学入門』を読んで、ちょっと驚いた。 石ノ森章太郎が漫画の「監修」をしているのだが、それは関係ない。というより、絵柄は石ノ森タッチ...
本の話

『日本軍兵士―アジア・太平洋戦争の現実』を読んで

戦争の理不尽さは、罪のない民間人や子どもを巻き添えにすることに一番あらわれていて、現地報道の多くもそこに目を向けることになるが、長期化した場合に、駆り出された兵士たちにどれほど悲惨なことが起こるかについても、言い落すわけにはいかないだろう。...
本の話

世界文学の名作の子ども向けリライトのこと

もし、『ガリバー旅行記』や『ドン・キホーテ』や『西遊記』など、数多ある世界文学の名作のそれぞれについて、いったい何人くらいの人に読まれてきたか、その移り変わりを数字で出すことができたとすると、なかなか興味深い結果がみえるだろう。ただ、「子供...
本の話

魯迅と今の中国

中国の文学者である魯迅がもし生きていたら、今の中国をどう観て、どう語るだろうか。中国共産党は魯迅を「革命の聖人」と祭り上げてきたが、魯迅がそれを喜んで受け入れるとはとても思えない。権力や「正しい人」や奴隷的精神に魯迅ほど鋭い刃を向けた文学者...
本の話

『全集 樋口一葉』を手にして

もしあなたが日本の近代文学が好きで、古書店で安い値段で見つけたら、買っておくといいかな、と思える本の一つが、『全集 樋口一葉』という小学館の4巻本である(そのうちの3巻が小説と日記にあてられている)。文語文をすらすらと読めるようになるには、...